ボランティアについて
◇ボランティアについて◇
女子学院では土曜日や春休み・夏休みの期間を利用して、ボランティア活動が行われています。生徒たちが日々の学校生活だけでなく、さまざまな施設の方々と交流することによって共に生きることを学び、実際に福祉や奉仕の問題を体験することが大切だと考えています。
今回はその活動の一端と、参加した生徒の感想をご紹介します。
白梅福祉作業所ボランティア
白梅福祉作業所は世田谷区にあり、知的障害者が自活に必要な生活指導を受けながら、適切な作業をすることによって自立して生活することを目的とする福祉施設です。雑誌の付録の袋詰め、箱の組み立て、ネジのビニール袋詰めなどの作業を、作業所の方と一緒に行うことにより自然な交わりの時を持っています。この活動は今年で21年目になります。
「白梅作業所」に行ったのは2日間という短すぎる時間でしたが、作業生の皆さんと協力して行った仕事や職員の方のお話を通して、私は障害者についてありきたりな偏見を持ってはいけない、ということや、「ボランティア」とは固く考えることではなく、身近な事からいつでも、すぐにでも始められるものなのだ、ということを知ったような気がします。
(中3生徒)
「白梅作業所」には毎年色々な学校からお手伝いの方が来ますが、だいたい3年位で来なくなるケースが多いそうです。そんな中、女子学院の訪問は今年で20年目になり、一番長く続いています。ですから、作業所の方たちもJG生のお手伝いは年間行事の一つとして、楽しみにして下さっていると、うかがいました。(中略)
短い白梅の2日間で私が学んだことは「ボランティアとは何なのか」という単純かつ、とても基本的なことでした。辞書を調べるとボランティアとは「自発的にやることを申し出る。人のために尽くす、手伝う」とあります。しかし私は、ボランティアとは「自分を知ること」だと思います。行動することで、身体で何かを感じ学ぶことができる。そしてそこから本当の自分の姿が見えてくることで、今までの自分の考えが変わったりすることもある、ということです。
(中2生徒)
かりがね学園ワークキャンプ
生徒たちの「福祉の問題を観念的に取り上げているだけで良いのだろうか」という声により始まったワークキャンプです。長野県小県郡真田町にある、知的障害者生活施設の「かりがね学園」、福祉ホームの「ひなやまの家」、小規模共同生活作業所である「風の工房」の以上の3施設を、3泊4日で、春休みや夏休みに伺っています。今年で22年目になる活動です。
「かりがね学園」には普通に話せる人からほとんど話のできない方まで様々な程度の障害をもった方がおられます。私は障害をもった方を前にして“こわい”という感情は持ちませんでしたが、どのように話かけたらいいのか分からずにとまどっていました。しかし利用者の方々は私に積極的に話しかけてくださり、私が来たことを喜んでくれたようです。
利用者の方はそれぞれの能力に合わせて運動をしたり絵を描いたりしています。その陶芸や絵画の作品をみると、私たちに無いような感性で作られたあたたかい作品ばかりで、私はすっかりひきつけられ、製作している利用者の真剣な目がとても印象的でした。
私たちの仕事は、学園の人がよく利用している地域の学習館の遊具のペンキ塗りなどです。あまり大変な仕事はなく、とても楽しくやっていたのでこれで良いのだろうか、何か役に立っているのだろうか、と思ったりもしました。そんな時ある職員の方がして下さったお話が心に残っています。「かりがねに来るっていうと動きやすく汚れてもいい服装でなくてはいけないと感じているでしょうけど、私は皆がおしゃれしてきてくれると利用者への良い刺激になると思っています。職員は仕事上動きやすい服しか着られませんけど、利用者には他の人と同じようにおしゃれを楽しんでもらいたいと思っていますから。」
このお話は私が“かりがねに行く”ということに対して持っていた妙な気負いを取り去ってくれました。障害者と私たちが交流するのは特別でもなんでもないということが実感をもってわかったのです。かりがねを後にする日、利用者の方も職員の方も「また来てね」と言って下さいました。待って下さる方がいるから、次の休みにも行こうと思います。
(中3生徒)
一番町特別養護老人ホームボランティア
JG近くの、高齢者サービスを中心とする都市型総合福祉施設“いきいきプラザ一番町”内にある特別養護老人ホーム。土曜日に中学の宗教委員会が中心となって、ホームの高齢者の方のレクリエーション活動を、お手伝いしています。
毎年夏になると祖父母の家に行く。それが夏休みの楽しみで、私はおばあちゃんとおじいちゃんが好きなのは、優しいからである。私が何をしようが怒鳴ることはない。ただ一回叱って、後はこちらの意志にまかせてくれる。ただニコニコしているのではなくて、相手のことを思って優しいのだ。このため、小さい頃からお年寄りというのは優しくていつも笑っている人ばかりだと思っていた。
なぜ自分が「いきいきプラザ一番町」(一番町特別養護老人ホームボランティア)に行こうと思ったのかは覚えていないが、初めて行った時のショックはよく覚えている。一番町特別養護老人ホームにいらしたのは、身体が不自由な、障害のある高齢者の方々だった。私たちの訪問にニコニコと嬉しそうにしている人がいらしたが、その人たちと同じくらいあまり笑わない人もいた。笑わないのではなく笑えないのかもしれない。病気のせいで楽しくても、その感情を外にあらわすことができないのだと思う。私は話し相手が笑ったりして感情を外に出してくれると安心するタイプなので、高齢者の方の反応がないと不安になった。自分はこういうボランティアに向いていないのかと思ったが、ホームで働いている人たちが明るく接しているのを見たり、先輩方が手伝って下さって、ホームの雰囲気に徐々に慣れ、その後も友達を誘って何度か参加した。(中略)
私が老人ホーム訪問にまた行こうと思うのは、行った後の達成感と、少しでも役に立てたと嬉しくなるからだと思う。普段と違うことをするという楽しさであるかもしれない。でも相手の方が笑ってくれなくても、なんとなく雰囲気で喜んでくれているとわかる時が一番嬉しい。
(中3生徒)
フォスター・プラン
1995年、在校生の一人がフォスター・プランの活動を新聞で知り、参加しようと発案したのがきっかけで、ペアレントになりました。毎年高校3年生がこの活動を引き継ぎ、文化祭の高3模擬店の食品販売によって、二人のフォスターチャイルドを支援しています。また、中学生は手紙による交流を行なっています。
◇パイプオルガンの組み立て◇
ドイツから4人のオルガンビルダーが来校し、6月25日に器材の搬入、翌日から設置工事が始まりました。生徒たちは、音楽の授業や放課後に組み立ての様子を見学しております。7月の礼拝では、中1と高1の生徒がそれぞれ、4人のお働きに対してドイツ語で感謝の言葉を伝えました。8月初めには、整音の作業をする2人の方が来校し、一ヶ月かけてオルガンの音の調整をします