高校1年生が「ひろしまの旅」に行きました(2)
9月20日(水)に高校1年生による「ひろしまの旅・報告礼拝」が行われましたので、ご紹介します。
「広島では昔から、『8・6は大事な日だ』と教えられていますが、東京ではやっぱり、東京大空襲についての勉強が多いのですか?」
フィールドワーク先の広島女学院で、生徒の方にそう聞かれた時、私はとても驚いた。広島で行われているような積極的な教育はないし、私は東京大空襲の詳細は知らなかったからである。
広島女学院では、毎年平和集会が開かれたり、中3では長崎へ修学旅行、高1ではカンボジアの内戦についての学習、高2では沖縄へ修学旅行など、中高6年間を通して平和学習の機会が大変多いそうだ。さらに広島女学院には生徒主導で平和のために活動しているグループがあり、その中で主な活動が3つある。1つは私たち女子学院生にも配布されている「核廃絶の署名運動」だ。そのグループに入っている生徒さんは、原爆ドームの前などに行き、通り過ぎる人に声をかけて署名を集めているそうだ。次に、碑めぐり案内だ。これは、話を聞きにくる外国の方や修学旅行生などに、戦争をより身近に感じてもらうために、生徒さんたちが自分で原稿を書き、広島市内にある原爆の慰霊碑をめぐるそうだ。3つ目は「広島アーカイブ」の作成だ。広島アーカイブというのは、アプリのことで、広島市内のマップに被爆者の方の写真がマッピングされており、どこで誰が被爆されたのかがわかる、というものだ。さらにその写真をタップすると、その被爆者の方におこなったインタビューの動画などを見ることができるのだ。
一方で私たちを含め、広島・長崎以外に住む人々はどうだろうか?平和学習が多いとされる女子学院でさえ、広島女学院と比べると圧倒的に平和について考える時間が短いと感じた。そして女子学院に限らず、全ての人に平和学習の必要があることを痛感した。
私たちは、被爆者の方から直接お話を伺うことができる最後の世代だと言われている。では、そんな私たちに今できることは一体何だろうか。広島女学院の方とディスカッションをして、3つの答えを得ることができた。
1つは、まず私たちを含めたくさんの人々が戦争の悲劇や歴史を「知る」ことから始める必要があるということだ。そして少しでも多くの人が「知る」ためには、戦争や平和についての教育が必要なのだと思う。「教育」という言葉は最終日に行われた全体会でも多く聞かれた。私はこの「教育」をする上で大切なことは、先入観を持って一面からのみ見るのではなく、歴史的事実をしっかりと知り、認め、それらのことを多面的に見ることだと思う。そして一人ひとりが戦争や平和についてしっかりと考えを深めていくことによって初めて「知る」ということに繋がるのだと思う。
2つ目は、それらの事実を「知った」上でそれを次の世代へ伝えることである。しかしただ口で伝えるだけではやはり心に響かないだろう。伝える上で大切なのは、誰もが気軽に知ることができる環境と、動画や写真にして遺品を残すことだと思う。先ほど紹介した「広島アーカイブ」は私たちのスマホでもインストールできるアプリのため、誰でも気軽に見ることができる。更に動画で被爆者の方のお話を聞くことができるため、より深く考えることができると思う。
最後の1つは、くり返さないこと。戦争の、原爆の悲劇をもう絶対にくり返さないことが、私たちに今必要とされていることだと思う。
今回のひろしまの旅で、普段それほど意識しない戦争についてたくさん学び、考えることができた。そして、より戦争について知り、伝え、くり返さないために、私たちも生徒主体となって教育の大切さや戦争の事実について、多くの人に広めていきたい。
(高1生徒)