中学校卒業証書授与式が行われました

3月17日に中学校卒業証書授与式が行われました。卒業生代表のことば(答辞)を紹介します。

 

暖かい春の日差しが満ち溢れ、木蓮の花が咲く季節を迎えました。女子学院に入学してから早三年が経ち、私たちは今日女子学院中学校を卒業します。

この三年間で、勉学やクラブ・委員会活動、学校行事や礼拝など、様々な場を通して私たちはとても多くのことを学び、成長することができました。

私自身は、女子学院の生活で特に三つのものを得ることができたと感じています。

一つは、「習慣」です。私は現在、朝七時三十分に登校し、八時に礼拝場所に向かいます。登校時間は中学一年生の頃から、礼拝に向かう時間は中学三年生で宗教委員になり仕事ができてからですが、とても良い「習慣」を得られたと思っています。

女子学院では、授業ではなく礼拝で一日が始まります。心に余裕がなく、礼拝に集中できないこともありますが、それでも礼拝は私とは異なる経験から得られた知見に触れ、静かに自分と向き合うことができる貴重な時間です。この礼拝があることで、落ち着いて一日を過ごせています。

もう一つ、礼拝やキリスト教から得られたものがあります。それは、「新たな視点」です。女子学院に入学して初めて本格的に触れたキリスト教により、今まで私が持っていなかった「新たな視点」から物事を考えることができるようになりました。私は今でも、キリスト教やイエス様を完全に信じているわけではありません。また、入学以前はキリスト教を含め宗教にはほとんど興味を持っていませんでした。寺社への参拝やクリスマスでのプレゼントなど、身近に経験することしか知らず、そしてそれらも、由来や概要を知らずにただ楽しむのみでした。

しかし、女子学院に入学し、毎日の礼拝や聖書の授業、先生や先輩が示してくださる言動によってキリスト教の成り立ちや考え方、教えを学ぶことができました。以前までは代表的なものの中でもごく一部しか知らなかったイエス様についてのお話や御言葉を、意味とともに理解を深められたことで、人生において大切なことを学べていると感じます。

中でも最も大きな学びは、キリスト教の根幹の一つである「敵を愛せ」についてです。この教えを知った当初の私は“自分と敵対している人やものについて、無理矢理にでも自分を納得させ、心を偽って仲良く接しなければいけない“と受け取ったために、これを拒絶し、考えないようにしていました。

しかし、毎日様々な意見に触れていくうちに、本来の意味を理解できている、と思うようになりました。

まず、私が「敵」だと思っていた存在の多くは私が一方的に嫌い、敵視して相手を見ようとしなかったということに気が付きました。

そして、イエス様が言う「愛せ」とは自分を納得させるのではなく、最初に相手をみて受け入れて、そこから落ち着いて相手の立場や気持ちを考え、対話し理解し合っていくということなのではないか、と考えました。

私がこのように捉えた「敵を愛せ」は、段々と関係が希薄になった人やあまり話したことのない人などに対して自分が勝手に先入観を持ってしまうことを気付かせ、そして無理なく相手を受け入れ、自然に人と関わることを可能にしたと思います。また、今後増えていくであろう、様々な人と協力して何かを成し遂げていく機会において、対人関係を構築するために必要になることと思います。

私が中学校生活で得られた最後の一つは、「自ら行う」ことです。小学校での学習は宿題を含め単純な作業の繰り返し、つまり他者に言われることを正確に行うような状況だと私は感じていました。しかし女子学院に入学してからの学習は自分で調べ、思考する時間が増え、課題は自ら期限や範囲を把握し、計画を立てて終わらせる必要ができました。つまり、受動的にでなく能動的に学習をしなければならないのです。

また、中学一年での文化祭のクラス参加や中学二年でのごてんば教室、クラブ・委員会活動など、女子学院全体が先生や先輩方から指示されて行動するのではなく、一人一人が主体的に動くことを重視していると感じます。

このように生徒がみな進んで行う雰囲気をつくっていることにより、私も「自ら行う」ということを実感し、学ぶことができました。

高校生になると、私たちができることの幅がこれまで以上に広がります。中学校生活で得られたものを糧とし、様々なことに挑戦して各々の大切なものを見つけ、追求していきたいです。

最後になりますが、多くのことを私たちに教え見守ってくださった先生方、教職員の皆様、委員会やクラブの仲間として、時には話し相手としてともに居てくださった先輩方・後輩の皆さん、今まで三年間、共に切磋琢磨した‘22学年、そして一番近くでずっと私たちを支え、温かく背中を押してくれた家族、私たちに関わってくださった全ての方々に心からの感謝を申し上げ、卒業の言葉と致します。

一覧に戻る