女子学院の教育

女子学院院長 鵜﨑創

女子学院は1870年の創立以来、キリスト教精神を基盤に、生徒一人ひとりをかけがえのない人格として受け止め、自らを治める高い知性と高尚な志、神と人とに仕える自立した女性の育成を目指し、実践してきました。この教育の根底には、女子学院で学ぶすべての者が、人間を超えた存在・永遠の真理に対する畏敬の念を養い、知的水準の高い教育によって培われる自主自立した心豊かな人格として、他者に仕える心を育むことを願い求めてきた祈りがあります。学びの一日が、生徒と教職員全員によって、心を合わせて守られる朝の礼拝から始まる本校では、創立以来この祈りが継承されてきました。

女子学院は、中高一貫の教育体制と授業週5日制を堅持してきました。学院生活での限られた時間を活かして生徒が十分な力を身につけ、安心して大切な6年間を過ごすことができるのは、6年一貫のカリキュラムの中で、教師陣のきめ細やかな配慮に基づく厳しいながらもゆとりある指導と、意欲的に学ぼうとする生徒の前向きな姿勢がそこにあるからです。本校における進路指導も、単に有名大学への進学を目的とするものではありません。生徒が学ぶこと自体に喜びと意味を見出し、自ら学ぶ方法を身につけ、自分の進むべき道を見つけて、進路を切り拓くのを手助けすることにあります。そのため学習活動には、多くの実験や観察、体験が伴います。読書をすすめ、講演会等で様々な方々のお話を聞く機会も数多く用意されています。これらを通し、与えられた課題に対して自ら考え、自分自身の言葉で語ることが求められます。また、互いに議論し合う、ディスカッションの機会が、授業や学校行事の中で数多く取り入れられているのも特長です。大学入試に必要な教科・科目だけでなく、すべての学びが同じように大切にされています。このようなバランスのとれた学習を通して、幅の広い知性豊かな人間になるための基礎が養われていくのです。

女子学院には制服やこまかい校則がなく、生徒の自主性を尊重する明るく自由な校風が満ちあふれています。しかし、「主を畏れることは知恵の初め」という聖句が示すように、自由とは真理の前に立つ人間の敬虔を前提とし、真の自由は責任を伴います。他人の意見に左右されることなく、他者との違いを受け入れ、個性的な一人ひとりの生き方を創り出していく、それが女子学院なのです。生徒の自主的な活動である生徒会やクラブ活動が活発に行われているのも、このような校風があるからです。

本校の教育の基本方針をご理解いただいた上で、何事にも積極的に挑戦し、楽しく充実した6年間の女子学院での学びの生活を送ることを願っておられる、意欲に満ちた方々をお迎えできることを願っております。