標語聖句2014年度

女子学院の標語聖句は、その聖句の意味を生徒が1年の課題として考えるように、年度初めに院長が選んでいるものです。

2014年度の標語「人は目に映ることを見るが、主は心によって見る。」(サムエル記上 第16章7節)

今年度の標語聖句は旧約聖書のサムエル記に記されている、神さまがイスラエルを治める王を選ばれる為に、サムエルをベツレヘムにお遣わしになった時の物語の一節です。サムエルはとても人間味溢れる、豊かな人間性を持ち、また、神さまへ揺るぐことのない信頼を寄せた、深い信仰の人でした。サムエルは神さまが語りかけられるみ言葉に耳を傾け、エッサイの息子、ダビデを選び取り、彼に油を注ぎました。それに先立ち、神さまはサムエルに対し、ご自分は「人が見るようには見ない」と語りかけられ、さらに、この標語聖句の言葉を語りかけられたのです。

神さまは「人が見るようには見ない」と言われる。では、私たち人間はどのように人を、そして、物を見ているのでしょう? 神さまは私たちの価値観に対して、問いかけておられます。私たちは日常生活において、また、その人生において、絶えず、さまざまな場面で「選択」を求められます。「選びとる」ということは、先ず、その対象であるものについての「評価」が先行します。「人は目に映るものを見る」というのは、人を評価する時、学歴、肩書き、容姿、といったことを評価基準としてはいないか? 目に映るもの、形のあるものに左右されてはいないか? あなたはうわべで判断していないか? と厳しく問われているのでしょう。優れた脳科学者であり、『脳科学と聖書の教え』について語っていた松本元氏は、「思春期に脳は生涯の夢を探しだす。それに向かって変化し続けるのが脳の目的である。何かを達成するのが目的ではない。だから、何を達成したかで人を評価するのは、脳によろしくない。」という言葉を遺しています。目に見える形のあるもの、出来上がった「成果」で人を評価するのは良くないという彼の考えは、この聖句に相通ずるものがあると思います。

この標語聖句は、コリントの信徒への手紙二の4章の18節「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」という一節を思い起させることでしょう。その人の社会的地位や評判等々に拠らず、その人の人格そのものをみることを神さまは求めておられる。その為には自分の心が育っていないと、心を以て見えないものを見ることは出来ません。どうぞこの1年も祈りつつ、自分の心を育てることを大切にして、一日一日を過ごして下さいますように。みなさんにはこの聖句を、その意味するところが分かり易い、英語訳(Revised Standard Version)でも心に留めていただきたいと思います。 …man looks on the outward appearance, but the Lord looks on the heart.

今年度の標語聖句は、あなたがた一人ひとりに、自分の価値観を問い直すことを求められている神さまからの囁きとして、絶えず心に響くみ言葉となりますようにと心から願っています。

院長 風間 晴子

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