標語聖句2015年度

女子学院の標語聖句は、その聖句の意味を生徒が1年の課題として考えるように、年度初めに院長が選んでいるものです。

2015年度の標語「恐れるな、わたしはあなたと共にいる。」 (イザヤ書 第43章5節)

「恐れるな、わたしはあなたと共にいる」というこの御言葉は、神さまがヤコブに語りかけられた言葉として記されています。この御言葉の前では、神さまはヤコブをあがなわれた。そして神さまが共におられるので、たとえ、大河の中を通っても、押し流されず、火の中を歩いても、焼かれず、炎は燃えつかないと言われ、さらに、神さまの目にヤコブは価高く、貴く、ヤコブを愛すると神さまが宣言されています。

この御言葉に関して、直ぐに想い起こすのはコリントの信徒への手紙一の10章13節の使徒パウロの言葉です。神さまは決して私たちに耐えられない苦難はお与えにならない。そして必ず、その苦難を乗り越える道を備えて下さると書かれています。
生物としてヒトは、人との交わりを通して「人間」になると言われます。みなさんが女子学院で過ごすこの時期は、多くの人との出逢いを経験するでしょう。それらの出逢いを通して、「人間」として大きく育てられる時だと思います。そして、人生の中でもさまざまな悩みに出逢う時でもあると思います。他者との人間関係を大切にしながらも、自律した人格としての歩みを続けるために、悩み、苦闘することもあるでしょう。そのような時に、常に自分に注がれている神さまの愛の眼差しに気づくことによって、私たちは安んじ、強められ、そして時に、困難にも果敢に向かって生きていくことが出来るのだと思います。
いつ如何なる時にも、神さまが共に歩んで下さることを信じ、苦難を、失敗を恐れず、この1年も心豊かに一日一日をていねいに生きていって下さるように祈っています。
この御言葉と共に、神さまが常に共に歩んで下さることを見事に唱い上げた、マーガレット・F・パワーズの『あしあと』という有名な詩を想い起こします。
「ある夜、わたしは夢を見た。わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。ひとつはわたしのあしあと、もう一つは主のあしあとであった。」そして、人生で一番つらく、悲しい時、一つだけしかなかったあしあとに気づき、一番必要としたときに、なぜわたしを捨てられたのかと問います。すると主は「わたしの大切な子よ。わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりはしない。ましてや、苦しみや試みの時に。あしあとがひとつだったとき、わたしはあなたを背負って歩いていた。」と詩は結ばれています。今年度の標語聖句と共に、みなさんの歩みの支えとなることを祈って、いつか、この詩の全文をみなさんがご自身で読んでいただきたいと願っています。

院長 風間 晴子

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